オフィスに“聴覚の個室”を|立体音響ヒーリングの今すぐ使える活用術

医学博士で音楽療法士の板東浩です。

オンライン会議の後、頭が重く感じる——そんな経験はありませんか?

脳をフル稼働させた直後こそ、イヤホンでつくる“聴覚の個室”が役立ちます。数分間、立体音響ヒーリングを聴くだけで、心と頭がすっと軽くなる——そんな感覚を覚えたことのある方も多いのではないでしょうか。

私も含め多くの専門家の先生方が音楽作品等の監修に携わっているクロア社では、立体音響の技術を活かしたヒーリング作品を多数制作し配信しています。このコラムでは、そうした作品も紹介しながら、医学の視点から、立体音響を日常に活かすヒントをわかりやすくお伝えしていきます。

「立体音響」と聞くと、専門的で難しそうな印象を持たれるかもしれませんが、実際にはとてもシンプルで、対応するイヤホンやスマートフォンがあれば、どなたでも気軽に体験できる身近な技術です。音に包まれるような感覚を、リラックスや気分転換のひとときに取り入れている方も増えています。

今回は、現在日本で体験できる代表的な2つの立体音響方式——360 Reality AudioDolby Atmos に注目し、それぞれの特徴や違い、場面ごとの使い方について、ご紹介していきますね。

目次

デスクで森林浴

音の空間で、こころと呼吸をととのえる。

まずは、今すぐ日本でも体験できる立体音響の方法からご紹介しましょう。今回はその中でも、空間全体に音が広がることで“音に包まれる”ような感覚が得られる、代表的な方式を取り上げます。

360 Reality Audioで“音に包まれる”体験を

立体音響とは、音が左右だけでなく、前後や上下からも聞こえるように工夫された新しい音の聴き方です。その中でも「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティ・オーディオ)」という技術は、自然の中にいるような感覚を音で再現してくれます。

たとえば、せせらぎの音が前から流れ、小鳥のさえずりが頭の上から聞こえてくる。こうした音の広がりによって、周りの雑音が気にならなくなり、自分だけの静かな空間が生まれるのです。方法はとても簡単です。

① 360 Reality Audioに対応した音楽を選ぶ
② 対応したイヤホンをつけて深呼吸する
③ 目を閉じて、音がどこから聞こえるかを感じながら数分間耳を傾ける

これだけで、頭の中がスーッと静かになり、気持ちが軽くなると感じる人も多くいます。まるで森の中で深呼吸しているような、心地よい時間がデスクでも味わえるのです。

立体音響が“脳の休憩スイッチ”になる理由

立体的に広がる音は、脳に「今は安心しても大丈夫」と伝える感覚刺激(sensory input)として働きます。こうした刺激は、脳の前頭前野(prefrontal cortex)の過活動を抑え、副交感神経の働きを高めることで、自然と呼吸がゆっくりになり、頭や体の緊張がほどけていきます。

特に、集中が切れてしまったときや、考えがまとまらなくなったときには、この“音でつくる静けさ”が大きな助けになります。

実際に、数分間の立体音響を聴いたあと、「頭の中が整理された」「集中力が戻ってきた」と感じる人も少なくありません。これは、音に意識を向けることで交感神経の過緊張をリセットし、心拍のゆらぎ(HRV)の安定にもつながると考えられています。

今では、立体音響を使った音楽はスマートフォンやパソコンでも気軽に楽しめるようになっています。昼休みや会議の後など、短い時間を使って“音の森林浴”を取り入れてみてはいかがでしょうか。

出典:立体映像・音響刺激が脳内血行動態、心拍および主観評価に与える影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jje/51/Supplement/51_S338/_pdf

全方位から音が降りそそぐ 360 Reality Audioによる音楽配信作品をご紹介

※本作品は Amazon Music の対応環境にて、360 Reality Audio(立体音響)でお楽しみいただけます。( 👉 画像をクリック )

【360 Reality Audio とは】
360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)
「全方位から音が降りそそぐ、新体験。」
360 Reality Audioは、オブジェクトベースのソニーの360立体音響技術を使った新しい音楽体験です。
ボーカルやコーラス、楽器などの音源一つひとつに位置情報をつけ、球状の空間に配置。
アーティストの生演奏に囲まれているかのような、没入感のある立体的な音場を体感できます。
詳細:https://www.sony.jp/headphone/special/360_Reality_Audio/
※360 Reality Audioは、Amazon Musicにてお楽しみいただけます。

“聴く昼休み”は、たった1曲でリフレッシュ——立体音響で“耳のシャワー”を

耳に降り注ぐ音のシャワー。数分で、呼吸が整う。

次にご紹介するのは、もうひとつの代表的な立体音響の方式です。音が上から降りそそぐように感じられるDolby Atmosは、短時間で気分を切り替えたいときにぴったりの方法です。

音で気分を切り替える「聴覚の昼休み」

オフィスで仕事をしていると、午後になるにつれて集中力が落ちてくることがあります。そんなときにおすすめしたいのが、立体音響の音楽をイヤホンで数分間聴くだけの“音の休憩”です。

使い方はとてもシンプルで、たった1曲でも十分。音が空間の上や後ろからも聞こえてくるDolby Atmosのような方式では、まるで音が頭の上からやさしく降り注ぐような感覚が得られます。それにより、脳の緊張がゆるみ、呼吸や心拍のリズムが自然と整っていくのです。

これは、身体が重く感じるときに短時間だけシャワーを浴びて気分がすっきりするのに似ています。耳や頭に働きかける“音のシャワー”として、手軽に気持ちを切り替えられる方法といえるでしょう。

1曲でもOK。余裕があれば“深呼吸のように数曲”

このような音の活用法を通じて、気分が整ったり、集中力が戻ってきたと感じる人は少なくありません。

「心拍が落ち着いた」「頭がすっきりした」といった感想も寄せられています。昼食後の眠気が和らぎ、午後の集中力が高まったという声もあります。

近年では、空間音響(spatial audio)を活用した3D音響環境が、主観的ストレスの軽減や自律神経の安定、特に副交感神経の活性化に寄与する可能性が示唆されています。数分間の音響刺激が心拍変動(HRV)にポジティブな影響を与えるケースもあり、心身のリセットを促す手法として注目されています。

とくに忙しい日は、1曲だけの“クイックリセット”として取り入れるのが現実的です。それでも十分に効果を感じられるでしょう。もし時間に余裕がある場合は、2〜3曲を続けて聴くことで、より深くリラックスし、自律神経のバランスを整えるような回復モードに入りやすくなります。

このように、立体音響の音楽は、ただ聴いているだけで頭と気持ちをリセットできる、手軽で効果的な昼休みの過ごし方としておすすめです。

出典:Decreasing Stress Through a Spatial Audio and Immersive 3D Environment: A Pilot Study With Implications for Clinical and Medical Settings
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/2059204321993992?utm_source=chatgpt.com

※本作品は、Apple Music および Amazon Music の対応環境で、Dolby Atmos(立体音響)にてお楽しみいただけます。( 👉 画像をクリック )

【ドルビーアトモス】による、究極の音楽体験を。
Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)とは映画・音楽・ゲームなどの分野で広く採用されている立体音響技術です。さまざまな音が頭上を含むあらゆる方向から聞こえることにより、驚くほど鮮明かつ豊かな臨場感あふれるオーディオ体験ができます。
【ドルビーラボラトリーズ】https://www.dolby.com/ja
※ドルビーアトモスは、Apple Music、Amazon Musicにてお楽しみいただけます。

音でつながるチームリズム——短時間の“共有ヒーリング”という選択肢

それぞれの色、それぞれのリズム。でも、ひとつの音でつながっていく。

ここまでは個人で取り入れる方法を紹介してきましたが、立体音響ヒーリングはチーム単位で取り入れることも可能です。数分の音の共有が、職場全体の雰囲気やリズムにもよい影響を与える可能性があります。

“同じ音を同じ時間に”が生むチームの一体感

職場では、仕事のペースや集中の波が人によってバラバラになりがちです。そんなときに、チーム全員が同じ時間に同じ音を聴く——たったそれだけで、不思議と「気持ちがそろう」感覚が生まれます。

たとえば、午後の決まった時間に、数分間の立体音響の音楽を「共有のリセットタイム」として聴く習慣をつくる。メッセージツールや社内の掲示板などを使って、あらかじめ再生のタイミングを知らせるだけでも十分です。実際、たった数分の取り組みでも、「気持ちの切り替えがしやすくなった」「チームの一体感を感じた」といった声が聞かれます。

この“音の打刻”は、集中を促すだけでなく、コミュニケーションのきっかけにもなります。場所が違っても、同じ音を共有することで、心理的な距離が少し縮まるのです。

リズムが整うと、パフォーマンスも整う

このような音の共有は、感覚刺激によって自律神経のリズムを穏やかに整える手段としても注目されています。たとえば、心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)がチーム全体で安定したという報告や、集中状態のリズムがそろいやすくなったという観察結果もあります。

特に、音源を「短く」「同じものに統一」することで、開始と終了のタイミングが明確になり、全員の切り替えが自然と同調するようになります。これはいわば、“聴覚によるバイオフィードバック”のような働きを持ち、心と身体の同調を無意識に促すしくみともいえるでしょう。

YouTubeなどで公開されている立体音響の短尺音源は、こうした習慣を始めるうえで、気軽に取り入れやすい選択肢です。

こうした“音の習慣”は、単に気持ちを整えるだけでなく、職場全体のパフォーマンスや雰囲気にも良い影響を与える可能性があります。まずは週に1〜2回、試験的に取り入れてみることで、チームに合ったかたちが見えてくるでしょう。

出典:Virtual nature and well‐being: Exploring the potential of 360° VR
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11839238/?utm_source=chatgpt.com

スペシャルヒーリングミュージックビデオ
【 CROIX HEALING × 360 Reality Audio | 4K スペシャルヒーリングミュージックビデオ 】

CROIX HEALING × 360 Reality Audio | 4K スペシャルヒーリングミュージックビデオ

※全方位から音が降りそそぐ新しい音楽体験と4K映像によるスペシャルヒーリングミュージックビデオをお楽しみ下さい。( 👉 画像をクリック )

おわりに

音には、ただ癒やしをもたらすだけでなく、空間や心に“静けさ”の風景を描く力があります。立体音響ヒーリングは、そうした音の力を生かし、日常の中に静かで穏やかな休息の場をつくり出してくれます。

本コラムでは、現在日本でも体験可能な立体音響の代表的な2つの方式――360 Reality Audio と Dolby Atmos を取り上げ、それぞれの特徴と活用法をご紹介しました。対応する機器や再生環境が整えば、こうした音響体験は思った以上に気軽に取り入れることができます。

最近では、YouTubeなどの配信プラットフォームでも短尺の立体音響音源が増えており、より手軽に“音に包まれる時間”を楽しめるようになっています。

こうした取り組みは、まさに音(sound)の風景(landscape)としての「音風景(サウンドスケープ)」を形づくる実践でもあります。

シンプルで効果的なウェルビーイング施策を導入し、チームのリズムを揃え、より健やかで活力に満ちた職場環境を実現しませんか?

Supplement…

癒やしの映像と音楽でリフレッシュタイム・・・

RELAX WORLD『目覚めの時』× 360 Reality Audio | 4K スペシャルヒーリングミュージックビデオ @RELAX_WORLD

RELAX WORLD 『Time to Awaken』 x 360 Reality Audio | 4K Special Healing Music Video

アルコール0%の赤と白。本格風味と睡眠の質向上・・・

ワイン好きのための新感覚のウェルネスドリンク

「CHILLNEKO(チルネコ)」

本格風味を楽しみながら睡眠の質向上をサポートする新時代のウェルネスドリンクです。大麦発酵液のGABAをブレンドし、「機能性表示食品」の認証を取得。アンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学などを専門とし、クロアのヒーリングミュージックの監修作品も手掛ける医学博士・板東浩先生と共同開発されたこのドリンクは、ワイン好きの方にもぴったりな心地よさと健康を両立させています。

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執筆

板東 浩(ばんどう ひろし)のアバター 板東 浩(ばんどう ひろし) 医学博士 日本統合医療学会四国支部長

徳島県糖質制限研究会代表 ​ 徳島大学卒業、ECFMG資格取得後、米国でfamily medicineを臨床研修。専門領域はアンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学など。アイススケート選手として国体出場(1999 ~ 2003)。第9回日本音楽療法学会大会長(2009)。第3回ヨーロッパ国際ピアノコンクール(EIPIC)in Japan銀賞(2012)。日本プライマリ・ケア連合学会大会長(2017、高松)。 日本心身医学会 中国四国地方会大会長(2023)。糖尿病関係の英文医学雑誌4誌のEditor-in-Chief(編集長,2024)。著書30冊以上、印刷物2,000以上、英語論文500以上。「新老人の会」徳島代表。

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