今日からできる、“注意の静けさ”で創造性を高める方法 — 医学博士が教える感覚と前頭前野の整え方

医学博士で音楽療法士の板東浩です。

なんとなく考えがまとまらない、アイデアが出てこない——

そんなときは、がむしゃらに考えるより、「静けさ」を整えることが近道かもしれません。

実は、ひらめきには“脳の余白”が欠かせないのです。本稿では、医学と音楽療法の視点から「注意の静けさ」と創造性の関係、そして日常にすぐ取り入れられるヒントをご紹介します。

目次

感覚が整うと、前頭前野が活性化する

創造の司令塔、疲れていませんか?

ヒーリングミュージックのような予測可能で心地よい音楽は、ヒトの脳に良い影響を与えます。特に大脳の前頭前野(前頭葉で思考の重要な部位)は、注意・感情・創造力の司令塔とも呼ばれます。しかし、現代人の生活は過剰な感覚刺激に囲まれており、この前頭前野が常に酷使されている状態です。

感覚過多によって前頭前野が疲弊すると、集中力の低下や情緒の不安定化だけでなく、新しい発想を生み出す余裕すら失われてしまいます。適切な音楽環境は、この負担を和らげ、脳に必要な“静けさ”を取り戻すための手助けになります。

感覚が整うことで創造の土壌が生まれる

前頭前野に雑多な刺激が入りすぎると、注意や感情の制御がうまくいかず、脳のリズムが乱れます。これでは「ひらめき」が生まれる余地がありません。

このような感覚の安定は、ヒトが創造性を育むための「土壌」となるのです。もし脳が過度なストレスや情報の洪水にさらされると、新しい発想や柔軟な思考は生まれにくいもの。

しかし、ヒーリングミュージックの穏やかな音の「揺らぎ」があると、脳には適度な余裕が、心にはゆとりが生み出されます。すると、創造的なアイデアや前向きな思考が引き出されやすくなります。

今日からできること:
作業前やアイデアを出したいときに、1曲分(3〜5分)のヒーリングミュージックを静かに聴いてみましょう。目を閉じ、音に意識を向けるだけでも前頭前野が整いやすくなります。

ヒーリングミュージックをご紹介

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音の“予測可能性”と“揺らぎ”が脳を癒やす

安定した音が脳に安心感を与える

ヒーリングミュージックは、予測可能で心地よい構造を持つ音楽です。一定のテンポや繰り返しのある音は、私たちの脳に安心をもたらし、自律神経のバランスをととのえる効果があります。これは音楽療法の研究でも示されており、穏やかなリズムは交感神経の過剰な緊張を和らげる役割を担います。

また、私たちの脳は「次に何が起こるか予測できる」状況にあると、余計なエネルギー消費を抑えられます。音楽が単調すぎると飽きてしまい、逆に複雑すぎると疲れてしまう。その中間にある“適度な予測可能性”が、安心感と集中を同時に叶える鍵なのです。

ゆらぎが脳にスペースを与える

自然界の音——風にそよぐ葉、波の音、鳥のさえずり——には“ゆらぎ”があります。これは完全な規則性でも無秩序でもない、微細な変化の繰り返しです。この「1/fゆらぎ」は、脳波をα波に導き、脳に“静かな動き”を生み出します。

ここで重要なのは、「リラックスと軽い覚醒」が同時に起こるということ。これにより、心身は過度に沈静化することなく、創造的なモードに入る準備が整います。集中とも沈思とも違う、やわらかい注意の状態——それが、ひらめきのためのベースになります。

今日からできること:
仕事の合間や集中したいタイミングに、「1/fゆらぎ」を含む自然音入りのヒーリングミュージックを取り入れてみましょう。風や水の音、鳥のさえずりなどがミックスされた音楽は、人工的なBGMでは得られにくい“脳のしなやかさ”を引き出してくれます。

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創造のリズムは、職場にも取り入れられる

音で、職場が変わる時代へ

近年、音環境の研究が進み、没入感(Immersion)を高めるVirtual Reality Therapy(VRT)や、感覚刺激と健康の関係を捉える「センサリーヘルス」、さらには五感のバランスを整える空間設計の重要性が指摘されるようになってきました。音は、照明や温度と同じく「空間の質」を決める要素のひとつです。働き方の多様化が進む今、オフィス環境の再設計が求められています。

その中でも、ヒーリングミュージックのように予測可能で安定したリズムを持つ音は、自律神経を整え、感覚の過敏さをやわらげてくれます。こうした音を職場に取り入れ、環境全体で“感覚の静けさ”を育むことは、今後の働き方改革において欠かせない視点です。

“時間栄養学的な音”で働き方を整える

「時間栄養学」は、食べ物の内容だけでなく“いつ摂るか”が体に影響するという概念ですが、これは音にも応用できます。たとえば、朝はテンポのある音楽で始動モードに、昼は落ち着いた音で集中を促し、夕方にはゆるやかな揺らぎのある音で気持ちを鎮める——。こうした“音の時間差活用”は、脳と心の状態を自然に切り替えるリズムになります。

ヒーリングミュージックは、単なる個人の癒やしにとどまらず、職場全体の思考の質、チームの雰囲気、さらには生産性にまで波及する空間要素です。音が整えば、空間に静けさが生まれ、脳には余白ができる。そこにこそ、創造の種が芽吹くのです。

今日からできること:
時間帯に応じて、職場や在宅ワークの空間にヒーリングミュージックを取り入れてみましょう。午後の集中タイムや会議前には、1/fゆらぎを含む自然音や安定したリズムの音楽が効果的です。空間に静けさが生まれ、チーム全体の雰囲気も落ち着き、発言や発想が自然と引き出されやすくなります。休憩室や共有スペースにBGMを導入するのもおすすめです。

アプリの活用

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おわりに

私はこれまで、音楽療法や統合医療、心身医学といった分野において幅広く調査を重ね、国内外で知見を発信してきました。「音によって空間を整えること」が、脳に静けさをもたらし、創造性を引き出すための大きな鍵になることが、さまざまな分野で注目されています。

静けさの中からひらめきが生まれるように、私から皆さまへ、心の中で輝きを放つ“宝石(GEM)”をそっと贈ります。

G:Gratitude(感謝)
E:Empathy(共感)
M:Mindfulness(マインドフルネス)

近年、これらの感性(感謝・共感・マインドフルネス)は、ストレス軽減や前向きな情緒の維持にも寄与するとされ、心身の健やかさを育む基盤ともなっています。ヒーリングミュージックがもたらす穏やかな音の空間の中で、この宝石のような3つの感性を、ぜひそっと育ててみてください。

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執筆

板東 浩(ばんどう ひろし)のアバター 板東 浩(ばんどう ひろし) 医学博士 日本統合医療学会四国支部長

徳島県糖質制限研究会代表 ​ 徳島大学卒業、ECFMG資格取得後、米国でfamily medicineを臨床研修。専門領域はアンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学など。アイススケート選手として国体出場(1999 ~ 2003)。第9回日本音楽療法学会大会長(2009)。第3回ヨーロッパ国際ピアノコンクール(EIPIC)in Japan銀賞(2012)。日本プライマリ・ケア連合学会大会長(2017、高松)。 日本心身医学会 中国四国地方会大会長(2023)。糖尿病関係の英文医学雑誌4誌のEditor-in-Chief(編集長,2024)。著書30冊以上、印刷物2,000以上、英語論文500以上。「新老人の会」徳島代表。

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