デスクで集中して仕事に臨みたいときに適した音楽とは?

こんにちは、医師で音楽療法士の板東浩です。働き方改革により職場環境が改善されていますが、会話や設備機器音など避けられない騒音に悩むこともあります。そんなとき、音楽を上手に活用することで、仕事に集中しやすくなるかもしれません。ここでは、音楽を取り入れた効果的な職場環境の作り方についてお話しします。

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サウンドスケープ(soundscape)とは?

まず、サウンドスケープについて説明します。サウンドスケープとは、環境における音の景色を指します。たとえば、シーサイドの高級ホテルに宿泊したと想像してみてください。青い空と白い雲、紺碧の海という美しい風景を見渡しながら、耳を澄ませると寄せて返す波の音が聞こえてきます。これが「音風景(サウンドスケープ)」です。

この概念は、カナダの作曲家で音響エコロジーの先駆者であるR.マリー・シェーファーによって提唱されました。私たちの日常生活には、騒音や人工音、風や水など自然の音、さらには音楽などが混在しており、それらすべてがサウンドスケープを形成しています。都市部では特に、これらの音が交錯し、私たちの心理状態や生産性に影響を与えることが多いです。

サウンドスケープは、意識的にデザインされることもあります。例えば、都市計画では、騒音を減少させるために防音壁を設置したり、公園や緑地を増やすことで自然音を取り入れる努力がされています。このような取り組みにより、私たちの生活環境はより快適でストレスの少ないものとなるのです。

音楽療法の視点からも、音の質や種類が人の心理に与える影響は非常に大きいとされています。適切な音環境を整えることで、リラックス効果や集中力の向上が期待できます。これにより、仕事や学習の効率を高めることができるのです。

環境に音の意識を

近年、サステナブルな社会の実現が求められる中で、街づくりや建築デザインにも音風景の工夫が取り入れられています。私自身も仕事の出張で、国際会議場や美術館などを訪れる機会が多く、その際に感じる音環境の重要性を実感しています。音楽が持つ力を活用して、より快適な空間を作り出すことが求められています。

例えば、私が住む徳島県には近代美術館があり、ここでは「音楽と詩のコンサート」を担当したことがあります。このコンサートでは、名画と対話しながら穏やかなひとときを楽しむという企画が実施されました。最近では、特別展「思い出のアルバム―人生を語るユニバーサル展示」(2022-23)が開催され、展覧会場にはマスキング音を使用した音空間が設置されました。モーツァルトやリストの名曲がBGMとして流れ、訪れる人々に快適な観覧環境を提供しています。

このような取り組みは、職場でも応用可能です。多くの企業では、クラシック音楽やイージーリスニングをBGMとして導入し、従業員の集中力を高めています。音楽の選定には注意が必要ですが、大多数の人々が耳障りに感じない音源を選ぶことで、快適な音環境を作り出すことができます。

さらに、音楽はストレスを軽減し、リラックス効果をもたらすことが知られています。これにより、従業員のメンタルヘルスも向上し、結果として生産性の向上につながるのです。今後のオフィスでは、音環境に配慮した設計がますます重要となるでしょう。

おすすめ音楽

💡 環境に音の意識を…
👉 解放弦による倍音効果、心臓の音やろうそくの炎でも感じられる「1/fゆらぎ」による癒しの効果
🎶 眠りのハープ ~愛の夢~

徳島県立近代美術館
特別展「思い出のアルバム―人生を語るユニバーサル展示」(2022-23)にて
02.「モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク第2楽章」が使用されました。

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あなたのデスクの音環境は?

職場環境によっては、エアコンの音や機械音、電話やPCのアラーム音、会話などが気になることがあります。これらの雑音が集中力を削ぐ要因となり、仕事の効率を低下させることがあります。少しでも集中力を高めるために、以下のような工夫をしてみましょう。

  1. オフィス全体でBGMを流す場合:低音量で心地よい音楽を選びましょう。クラシックやイージーリスニングの曲が推奨されます。これにより、背景音としての音楽が雑音をマスキングし、集中しやすい環境を作り出すことができます。もしBGMの設備が整っていない場合、自分だけの音楽を聴くためにイヤホンを使用するのも一つの方法です。片耳だけイヤホンを使用することで、周囲の音もある程度把握しながら、自分の世界に入り込むことができます。
  2. 音楽の選び方:職場では集中力を妨げないような音楽を選ぶことが大切です。歌詞のないインストゥルメンタルや、ゆったりとしたテンポのアンビエント音楽が適しています。一方で、リラックスしたいときや仕事のオフタイムには、自分の好きな音楽や馴染みのある曲を聴くのも良いでしょう。これにより、心身のリフレッシュが図れます。
  3. 最近注目されている「ノイズ音」の活用:ホワイトノイズやピンクノイズといった音は、周囲の雑音を効果的にマスキングし、集中力を高める効果があります。これらの音をバックグラウンドに流すことで、一つの作業に集中するシングルタスクへの効果が期待できます。

職場の音環境を改善するための具体的なアクションとして、まずは自分のデスク周りの音環境を見直してみましょう。必要であれば、上司や同僚に相談してBGMの導入を提案することも考えられます。小さな工夫であっても、積み重ねることで大きな効果が得られるはずです。

おすすめ音楽

💡 あなたのデスクの音環境は…
👉 バックグラウンドに溶け込むように穏やかなアンビエント音楽(Noise ver.も周囲の環境音を遮断し集中効果が期待されます。)
🎶 Shifuku

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おすすめの音

💡 聴くだけで集中力が高まる?謎の音「ノイズ」
👉 ひとつの作業に集中するシングルタスクへの効果的方法(その逆はマルチタスク)
🎶 Sleep Deeply (Noise)

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まとめ

サウンドスケープについて、社会的な環境、職場のフロア、デスク周囲の視点からお話ししました。視覚の風景と同じように、聴覚の音風景も重要です。適切な音環境を整えることで、仕事の効率を高めることができます。音楽の力を上手に活用し、快適な職場環境を作り出してみてください。音楽には、あなたの心に働きかける大きな力が備わっています。

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執筆

板東 浩(ばんどう ひろし)のアバター 板東 浩(ばんどう ひろし) 医学博士/日本抗加齢医学会評議員/日本統合医療学会 四国支部長

徳島大学卒業、ECFMG資格取得後、米国でfamily medicineを臨床研修。専門領域はアンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学など。糖尿病関係の英文医学雑誌4誌のEditor-in-Chief(編集長,2021)。著書30冊以上、印刷物2,000以上、英語論文250以上。「新老人の会」徳島代表。

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