ご存じですか?「心身医学」。デジタル時代における「こころ」と「からだ」の関係とは!

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音楽を取り入れた環境改善が、心身の健康に与える影響。

みなさんは「心身医学」という言葉を耳にしたことがありますか?これは、心と身体が密接に関連し合っているという考え方に基づく医学です。心と身体は切り離して考えることができず、精神的なストレスが身体に現れたり、逆に身体の不調が心に影響を及ぼすことがあるのです。この考え方が、「心身医学」の根幹を成しています。

人は誰もが「健康や幸福」を願っています。この概念を包含する言葉として注目されているのが、「ウェルビーイング(Well-being)」です。あなたの心と身体が、Well(良い、望ましい、満足すべき)のようなBeing(状態にある)という意味合いですね。私たち日本人は、歴史的にも健康や幸福をごく自然に感じ実践できているというトピックをお話しましょう。

「こころ」と「からだ」:心身相関

例えば、仕事で感じるストレスや緊張は、頭痛や肩こり、不眠といった身体の症状として表れることがあります。それは、心が緊張していると、身体もその影響を受け、筋肉がこわばるためです。一方で、身体が疲れていたり、不調が続いていると、心にもストレスが溜まりやすくなり、不安感やイライラを引き起こします。これが「心身相関」と呼ばれる現象です。

「心身医学」では、この心と身体の相互作用を理解し、心をケアすることで身体の健康を、また体をケアすることで心の健康を保つというアプローチを取ります。

音楽や瞑想がもたらす「心身医学」の効果

では、どうすれば心と身体のバランスを整えることができるのでしょうか?一つの答えは、音楽や瞑想といったリラクゼーション法を日常生活に取り入れることです。音楽は、リラックス効果をもたらし、自律神経のバランスを整える力があります。特に、穏やかなリズムの音楽は心拍数を安定させ、心の安定を促す効果があることが分かっています。

瞑想もまた、心のセルフケアにおいて非常に有効です。呼吸に意識を向け、心を静めることで、精神的な安定を図ることができます。瞑想を日常的に行うことで、感情のコントロールがしやすくなり、ストレスに対する抵抗力も高まります。

日本文化と心身の調和:私たちの「心身一如」

心身一如」という言葉は、心と身体が一つであり、互いに深く影響し合っていることを表します。この考え方は、心身医学の領域で強調されている中心的な概念であり、日本文化にも深く根ざしています。私たち日本人は、長い歴史の中で心と身体の調和を重んじ、自然と共生しながら生活してきました。こうした文化的背景が、現代における「心身医学」とも密接に関連しており、私たちの国民性や性格にも大きく影響を与えています。

自然との共生と心身のバランス

日本人は、自然との調和を大切にし、そのリズムに合わせて生活してきました。四季折々の風景や自然の恵みに感謝しながら、日々の暮らしを整えています。こうした自然との調和が、心と身体のバランスを保つための重要な要素となっています。特に古代日本では、季節の移り変わりに合わせた生活リズムが、心と身体の健康維持に不可欠とされました。現代においても、花見や紅葉狩りなどの行事を通じて、心にゆとりを持たせ、リフレッシュする文化が続いています。

日本人の国民性と「和の精神」

日本人の「和の精神」は、心と身体の調和に通じる考え方です。他者との協調を重んじ、個人よりも集団の利益を優先する傾向があります。これは、社会の中でのバランスを取り、心と身体の健康を守るために非常に重要です。過度な競争や自己主張は、心にストレスを与え、身体にも悪影響を及ぼす可能性がありますが、互いに協力し合いながら調和を保つことは、心身のバランスを維持するための鍵となります。

「働く」という日本語は自分の為というよりも、周囲の人、「端(はた)」を「楽(らく)」にするという意味があります。つまり、働くこと自体が、他者を楽にし、社会全体に貢献するという考え方が根底にあります。こうした考え方が、私たちの心身の健康を支えてきたのです。

古代信仰と現代の心身医学の融合

日本の神話におけるアマテラスは、光、生命、そしてウェルビーイングの象徴です。彼女は、広く世界を照らし出す存在であり、その光は人々に健康と幸福をもたらします。この古代の信仰は、現代の心身医学における「光」の役割と重なる部分があります。

例えば、光療法は季節性うつ病や睡眠障害の治療に使用されており、心と身体のリズムを整えるために重要です。アマテラスが象徴する太陽の光は、私たちの生活の中で精神的な癒やしや身体的な活力をもたらし、バランスの取れた健康の維持に繋がるのです。

光があれば影があり、陰陽の概念は古くから存在します。アマテラスは太陽神として光や陽の象徴であり、弟であるツクヨミは月神として陰の側面を担っています。また、スサノオは荒々しい自然の力を司り、破壊や再生の象徴でもあります。この三柱の神々のバランスは、現代におけるウェルビーイングにおいても、仕事と休息、孤独と社会的交流といった異なる側面の調和を反映しています。神話に見られるこのバランスは、心身医学においても、日常生活での心と身体の調和がいかに重要であるかを示唆しているのです。

未来の心身医学:デジタル時代との融合

デジタル技術の進化により、音楽や瞑想の力をさらに活用できる時代が到来しています。スマートフォンのアプリやデジタルデバイスを使って、いつでもどこでも音楽を聴いたり、瞑想を実践することが可能です。このようなデジタル技術の進化は、心と身体のケアをより簡単に、そして効果的に行う手段を提供してくれます。

さらに、古代の信仰における光や純粋さが、現代の健康増進の実践にどう繋がるでしょうか?職場において、その環境が心身に与える影響は大きく、以下のような要因に気を配る必要があります。

・仕事内容やその日の気分

・チームの状況

・仕事空間の明るさや音環境(会話、電話音、雑音、BGM)

・観葉植物や香りなどの環境因子

職場環境には特定の理想形態があるわけではありませんが、円滑なコミュニケーションを通じて、快適な空間を整備することが可能です。例えば、マスキング効果を視覚や聴覚に活用することも有効です。明るい場所では光の点滅が目立ちにくくなり、BGMを利用すれば不快な騒音や会話の影響を軽減できます。

実際、私が国内線の飛行機に搭乗した際、エンジン音の音程がドレミの「レ」(D、ニ)であることに気づき、BGMがニ長調の明るい曲調だったことが、心地よい環境作りに繋がっていたと感じました。このように、環境音やBGMの選択も、快適な職場環境の一部として重要です。

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おわりに

現代の職場では、音楽を取り入れた環境改善が、心身の健康に与える影響は大きいです。「心身医学」の観点から、心と身体をつなぐ音楽の力を活用して、より良い職場環境を作り上げることが重要です。これにより、仕事のパフォーマンス向上だけでなく、従業員の幸福度も向上します。

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執筆

板東 浩(ばんどう ひろし)のアバター 板東 浩(ばんどう ひろし) 医学博士 日本統合医療学会四国支部長

徳島県糖質制限研究会代表 ​ 徳島大学卒業、ECFMG資格取得後、米国でfamily medicineを臨床研修。専門領域はアンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学など。アイススケート選手として国体出場(1999 ~ 2003)。第9回日本音楽療法学会大会長(2009)。第3回ヨーロッパ国際ピアノコンクール(EIPIC)in Japan銀賞(2012)。日本プライマリ・ケア連合学会大会長(2017、高松)。 糖尿病関係の英文医学雑誌4誌のEditor-in-Chief(編集長,2024)。著書30冊以上、印刷物2,000以上、英語論文400以上。「新老人の会」徳島代表。

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